クロニクル
創刊1560年6月、駿河・遠江・三河の太守今川義元が二万五千を率いて尾張へ踏み込み、鷲津・丸根の砦は落ちんとしている。これに対し尾張の織田信長はわずか三千の手勢で清洲に拠るのみで、世上誰一人として今月を乗り切るとは思っていない。同時に美濃の斎藤、伊勢の北畠、関東の北条と里見、東国の武田と長尾、西国の毛利と尼子、畿内の三好らがそれぞれの均衡を保っており、尾張一国の帰趨が東海道全体の均衡を揺るがしかねない。
the powers織田家: 尾張一国を二年前にまとめたばかりの二十六歳の若き当主信長が、三千ほどの手勢のみで清洲に拠り、二万五千の今川勢を前にしている。
the powers今川家: 駿河・遠江・三河三国を治める四十一歳の今川義元が、二万五千の大軍を率いて尾張東部に侵入し、鷲津・丸根両砦を圧迫している。
the powers斎藤家: 美濃一国、稲葉山城に拠る斎藤義龍が、西美濃三人衆ら有力家臣を擁しつつ、病をおして織田の美濃侵入を食い止めんとしている。
the powers北畠家: 伊勢・志摩を治める公家出身の北畠具教一門が、水軍と熊野詣での富を背景に、独立不羈の北伊勢四十八家を傘下に収めようとしている。
the powers北条家: 伊豆・相模・武蔵・江戸を押さえる四十五歳の北条氏康が、よく整った検地と税制、重臣の城網を武器に、上総・安房の里見氏の本拠久留里城を攻めている。
the powers武田家: 甲斐・信濃を押さえる三十九歳の武田信玄が、海なき国の弱みを抱えつつ、川中島での長尾との三度の対陣を経て、海津城の普請で北信濃を固めようとしている。
the powers三好家: 大和・和泉・摂津・丹波・淡路・阿波・讃岐の七か国に勢力を及ぼす三好長慶が、三万の兵と堺の富を背景に、畿内の実権を握ったまま河内の畠山高政を討とうとしている。
the powers毛利家: 安芸・備後・周防・長門を治める六十三歳の毛利元就が、厳島の夜討ちで大内氏旧臣を討滅した実績を背景に、尼子領の石見銀山を奪わんと兵を進めている。
your standing織田家殿、貴家は尾張一国、五千の兵力と四十四ほどの安定を元手に、二万五千の今川勢という圧倒的な軍勢を東から迎えることになる。北には美濃の斎藤義龍が犬山の織田信清と結んで国境を窺い、東からは鳴海・大高・沓掛を既に押さえた今川の先鋒松平元康が国境を侵している――このまま城砦を固めて持久するか、あるいは寡兵を頼みに一挙を賭けるか、選択は貴家の手に委ねられている。この夏の尾張の帰趨は、誰にも定まってはいない。