クロニクル
創刊1914年6月28日、サラエヴォで響いた銃声が、同盟と動員表という名の巨大な機械を静かに起動させた。欧州列強はまだ最後の一線を越えていないが、ウィーンの報復欲、ベルリンの白紙小切手、ペテルブルクのスラヴ的義務、パリの対独宿怨、そしてロンドンの中立の建前が、互いに矛盾しながら同時に真実であり続けることはできない。極東では日本が、欧州の混乱を好機と見るか災厄と見るか、未だその胸算用を明かしていない。
the powersドイツ帝国: アフリカに広大な植民地と七千七百五十万の民、二百億ドルの富、八十万の常備軍を擁し、オーストリアへの後ろ盾として同盟網の中心に立つ新興の工業強国である。
the powersオーストリア=ハンガリー: バルカンに覇を唱える多民族の帝国にして五千百四十万の臣民と四十五万の軍を持つが、サラエヴォの一撃に報復を叫ぶ声が宮廷を覆っている。
the powersロシア帝国: 一億七千五百万の民と百四十万の大軍を誇るスラヴの盟主であり、セルビアを見捨てぬ義務感と自国の威信のため、動員令という抜けば抜けぬ剣に手をかけている。
the powersフランス共和国: 八千八百万の国民と八十二万の兵、広大な植民地帝国を擁し、普仏戦争以来の対独宿怨を胸に露仏同盟の義務を果たす覚悟を固めつつある。
the powers大英帝国: 四億二千万の臣民と四百億ドルの富を擁する史上最大の帝国にして四十一万の兵力を持ち、海上覇権を背景に、仏露との紳士協定と中立の建前の狭間で沈黙を保っている。
the powersオスマン帝国: バルカン戦争の痛手も癒えぬまま二千三百万の民と三十万の兵を抱え、独逸との接近によって旧い衰運を覆そうと画策する病める大国である。
the powersイタリア王国: 三千七百五十万の国民と三十万の兵を持ち、紙の上では三国同盟に連なるが、未回収のイタリアへの野心から去就を秘めた新興強国である。
the powers大日本帝国: 六千八百万の民、六十億ドルの経済、二十五万の軍を擁し、朝鮮半島と台湾を確保した東アジアの新興列強として、欧州の激動を注視している。
your standing貴国、大日本帝国は朝鮮・台湾・本土を確保し、六十億ドルの経済と二十五万の軍、高い国内の安定を背景に、東アジアにおいて揺るぎない足場を築いている――隣には弱体化しつつある中国、そして極東に利権を持つロシア・イギリスが控える。欧州で火薬庫が爆ぜれば、日英同盟の義務、独逸権益への野心、中国大陸への影響力拡大の好機が同時に訪れるが、今はまだ火の手は遠く、傍観か参戦かの選択は貴国の手に委ねられている。