クロニクル
創刊1885年2月26日、ベルリンの会議室で引かれた一枚の地図とともにアフリカの分割が制度として整った。砲艦と電信、機関銃が征服を安価にし、統治のみが高くつく時代が始まり、列強は欧州での直接衝突を避けつつ、遠方の海岸と河口で互いの威信を試し合っている。カイロからハルツーム、コンゴの密林、バルカンの国境に至るまで、どの緊張もまだ火花に過ぎぬが、いずれも大火となり得る。
the powers大英帝国: スエズとエジプト占領を背骨にインド洋から南アフリカまで36の属領を束ね、軍艦240隻・陸兵21万・国庫110億の富を誇るが、ハルツーム陥落の屈辱を雪ぐ機を窺っている。
the powersフランス: 西アフリカから西インド諸島まで25の旗を立て、陸兵50万・軍艦130隻を擁して名誉回復の再軍備を進める共和国である。
the powersロシア帝国: 中央アジアから東欧にかけて17の領土を支配し、陸兵80万という欧州最大級の兵力を誇るが、国内統治の綻びが台所事情を圧迫している。
the powersオスマン帝国: 地中海東岸から北アフリカにまたがる12の属州を抱えるも、ヨーロッパの病人と囁かれるその版図は列強の視線を絶えず浴びている。
the powersドイツ: 統一からわずか十数年で東アフリカから太平洋まで8つの旗を立てた新興帝国であり、人口4700万・国庫90億・陸兵45万を背景に急速な植民地経営に乗り出している。
the powersポルトガル: モザンビークからアンゴラ、ギニアまで6つの古い属領を保持し、新興勢力の圧力の中で旧い植民地帝国の威信を守ろうとしている。
the powersオーストリア=ハンガリー: ウィーンとブダペストを中心にボスニア・ヘルツェゴビナを含む7領を束ねる二重帝国であり、バルカンの民族問題という内なる火種を抱えつつ、海外植民地競争には出遅れている。
your standing貴国は墺洪二重帝国として、オーストリア、ハンガリー、クロアチア、スロベニア、スロバキア、チェコ、ボスニア・ヘルツェゴビナの七領を擁しているが、海外に旗を立てた列強とは異なり、関心はバルカン半島の内に向けられている。セルビア、モンテネグロ、ルーマニアという小国が国境を接し、オスマン帝国の退潮とロシアの南下意志がこの地を火薬庫に変えつつある――アフリカの獲物を追うか、それとも足元のバルカンに目を凝らすか、その選択はまだ誰にも定められていない。